現在開催中の企画展「芝蘭の交わり」が本日24日で最終日となります。まだ、展示をご覧になられていない方は、お見逃しなく!また、会場内には、展示作品に関するクイズを設けております。解答した方には、會津八一の書入りの特製はがきを3種類の中から1種類を選んでいただき差し上げています。ぜひチャレンジしてみてください。
なお、24日は午前11時から作品解説会を当記念館展示室で行ないます。
「芝蘭の交わり」展 今日24日で最終日
2017年度 新潟市會津八一記念館特別展「禅 ZEN」
早稲田大学會津八一記念博物館
富岡コレクションを中心に
新潟市會津八一記念館と姉妹館協定を結ぶ早稲田大学會津八一記念博物館の富岡コレクションは、江戸時代の禅僧白隠画《布袋すたすた坊主図》や《蛤蜊観音図》などを有することで知られています。
富岡コレクションは、新潟県糸魚川市出身で、日本重化学工業株式会社の初代社長富岡重憲(1896~1979)が、永年にわたって収集した美術品で構成されています。特に、富岡は、江戸時代の禅書画に深い関心を寄せており、近世の主な禅僧を作品でたどることができるほどのコレクションを形成しました。
本展では、禅をテーマに、富岡コレクションの近世書画と、會津八一書作品を中心に紹介いたします。また、それら作品に合わせて、富岡コレクションのもう一つの核となっている高麗茶碗や和物茶碗、中国・明・清時代の鑑賞陶器の逸品も同時に展示いたします。
さらに、特別展示として、良寛の禅学の真髄ともいわれ、良寛が自ら『法華経』の多彩な思想を漢詩等によって示したとされる、良寛書《法華讃》(新潟市蔵)も紹介いたします。
- 白隠慧鶴《蛤蜊観音図》
- 遂翁元盧《寒山拾得図》
- 仙厓義梵《南泉斬猫図》
- 白隠慧鶴《布袋すたすた坊主図》
- 東嶺圓慈《主人公図》
- 仙厓義梵《蜆子和尚図》
- 久田宗全《赤楽茶碗 銘 初ちぎり》
- 《五彩牡丹文盤(万暦赤絵)》
- 會津八一《達磨図 闔國人追不再來》
- 良寛《法華讃》(部分)
講題 | 「禅画入門─富岡コレクションの禅書画を中心に」 |
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講師 | 浅井京子氏(元早稲田大学特任教授) |
日時 | 2017年10月20日(金) 14:00〜 |
会場 | 日報ホール(新潟日報メディアシップ2階) |
聴講料 | 500円 |
講題 | 「良寛筆『法華讃』と禅について」 |
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講師 | 竹村牧男氏(東洋大学学長) |
日時 | 2017年11月2日(木) 14:00〜 |
会場 | 日報ホール(新潟日報メディアシップ2階) |
聴講料 | 500円 |
※イベント1、2とも往復はがきに参加希望講演会名と、住所、氏名、電話番号をお書きのうえ、會津八一記念館までお送りください。
※1通につき1講演会、1名様までのご応募といたします。定員に達し次第締め切ります。
期間中 土・日曜日 午前11時から当記念館展示室にて
企画展チラシ
【終了しました】軽やかに生きる…大徳寺の泉田玉堂師が講演します
會津八一の誕生日の8月1日(火)午後2時から、新潟市中央区万代の日報ホールで、京都大徳寺の泉田玉堂老師(田上町出身、京都大徳寺松源院住持)が講演します。演題は「日々新面目あるべし」
泉田老師は6月、「軽やかに生きる」と題した本を出版されました。数多い禅語の中から108の言葉を取り上げ、その意味とともに私たちはどう生きるべきかを日々の生活に結び付け、語りかけるようにやさしい言葉でつづっています。
講演では禅と會津八一の生き方、作品などを取り上げて話してくださる予定です。
なにやら閉塞感漂う昨今ですが、泉田老師のお話を聞き、「軽やかに生きる」ヒントを得たいものです。
「日々新面目あるべし」は會津八一が早稲田大学の教員時代、教え子の学生に書いて贈った「学規」4則のうちの4番目の言葉でもあります。「日々怠ることなく努力を重ね新しい自分を創りだしていこう。人間の生は躍動してやまないものだ」という意味です。学規は、学問芸術を学ぶときの心構えとしたものであり、八一自らの生活信条にもなっていました。
聴講希望の方は往復はがきでお申し込みください。返信はがきを聴講券としてをお送りします。
宛先は〒950-0088 新潟市中央区万代3の1の1會津八一記念館 025(282)7612
多数のお申し込みをお待ちしております。
心の合った者の交わす言葉は蘭のようにかぐわしい
會津八一記念館は7月14日、會津八一記念館で開催中の「芝蘭の交わり~八一と麻青の書画」を記念して文芸講演会「北方の人會津八一 麻青あて書簡をよむ」を開きました(会場:新潟市中央区万代の日報ホール)。講師の和泉久子先生(鶴見大学名誉教授)が、麻青宛て手紙の中の八一の作品などをもとに、新潟に根差した文学活動を展開した二人について語り、約80人が耳を傾けました。
和泉先生は文学と風土の関係について「人間存在の基盤になるものであり、人間の特性を形作るもの」と定義し、「地方の心が培われて、それを新潟の風景を表すのは人間として当然のこと。越後の風土から感じたもの、風土それ自体を詠みこむということ」だとして上で、八一の《青貝のふばこの文や夜半の月》や《門をゆくひと物いわぬ深雪かな》を例に挙げました。麻青も《荒海のうろくづはみて吹き狂ふ吹雪に育つ北つ人かも》と新潟の風景を詠んでいます。
「芝蘭の交わり~八一と麻青の書画」展では、八一と麻青が期せずして同じ言葉を揮毫したその作品も見どころの一つです。《同心之言其臭如蘭》です。これは「心の合った者の交わす言葉は蘭のようにかぐわしい」という意味です。このことについて和泉先生は「二人に通じた心があったのではないか。学問芸術は大切にしなければならない。この大枠で確認した。人間の尊厳を確立するものだという考えを持っていた」との解釈を示し、「《同心之言其臭如蘭》の中の「同心」とは審美眼、美への感覚、美的判断。同じ審美眼を共有することではないか」と、心を通わせた二人の関係について述べました。
2017年夏企画展「芝蘭の交わり」
麻青に関する旧蔵品の初のお披露目展。
八一と麻青の文学活動における共通点を比較するとともに、
郷土に根差した両者の文芸を紹介します。
本展覧会は、會津八一(号・秋艸道人1881-1956)の旧制新潟中学時代の後輩で、歌人、国文学者の式場益平(五泉市出身、号・麻青1882-1933)の遺族から平成26年に当館へ寄贈された麻青に関する旧蔵品の初のお披露目展です。
展覧会では、八一と麻青の文学活動における共通点
1)良寛・万葉集への私淑
2)故郷・新潟をテーマに詠じた俳句や短歌
3)万葉調で詠じた奈良の短歌
を、それぞれの墨蹟や原稿などで比較するとともに、八一が麻青に贈った自らの墨蹟や書簡も併せて展示し、郷土に根差した両者の文芸を紹介します。
また、八一が上越地方の旧家で発見した小林一茶の「六番日記」を展示し、八一が麻青に一茶論を述べるほど一茶に私淑していた点にも着目し、さらには夏目漱石、安田靫彦、斎藤茂吉、相馬御風、原宏平が麻青に宛てた葉書によって麻青の幅広い交友関係を見ていきます。
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會津八一書簡式場麻青宛
(1926年7月30日付)
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夏目漱石書簡式場麻青宛
(年月日不詳)
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斎藤茂吉書簡式場麻青宛
(1925年3月18日付)
- 泰山経石峪集字拓本「北方之人」(八一が麻青に贈った拓本)
- 式場麻青歌書「うらやまの」
- 淡島寒月画・白猫図 會津八一句書「青空を」(1913年8月)
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小林一茶筆「六番日記」
(1804年1月~1808年5月 個人蔵)
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會津八一書・吉田蝸牛洞刻
「榴散樓」(1939年5月 個人蔵)
講題 | 「北方の人 會津八一 -式場麻青あて書簡をよむ-」 |
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講師 | 和泉久子氏(鶴見大学名誉教授) |
日時 | 2017年7月14日(金) 午後2時~3時半 |
会場 | 新潟日報メディアシップ 2階 日報ホール |
聴講料 | 500円 |
講題 | 「日々新面目あるべし」 |
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講師 | 泉田玉堂老師(大徳寺第530世住持) |
日時 | 2017年8月1日(火) 午後2時~3時半 |
会場 | 新潟日報メディアシップ 2階 日報ホール |
聴講料 | 500円 |
※イベント1、2とも往復はがきで「文芸講演会」、「八一祭」のいずれか参加希望を記し、住所、氏名、電話番号をお書きのうえ會津八一記念館までお送りください。定員に達し次第締め切ります。
※1通につき1講演会、1名様までのご応募といたします。
期間中 第2、4日曜日 午前11時当館展示室にて(企画展入館券が必要です)
企画展チラシ
ほのぼのとした絵が楽しい-絵本「大仏くらべ」発売中
會津八一が奈良の大仏さまを詠んだ歌「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて おほきほとけは あまたらしたり」をモチーフにした創作狂言「大仏くらべ」が絵本になりました。
狂言は今から650年くらい前の室町時代に生まれた日本で一番古い芝居です。
-鎌倉の男が奈良を訪れ、奈良の男と互いの地の大仏さまのすごさを自慢し合いますが、そのうちに・・・、さてその結末は-。
鎌倉にお住いの大江隆子さん作のお話で、松田大児さんのほんわかとしたタッチの絵は見ているだけで心なごみます。狂言独特のせりふがそのまま使われていますが、難しくはありません。
お子さんを、お孫さんを膝にのせて、鎌倉人(かまくらびと)と奈良人(ならびと)のこっけいなやりとりを楽しんでみませんか。
會津八一記念館の神林恒道館長が、會津八一とその歌について一文を寄せています。
販売は會津八一記念館と奈良の東大寺、そして鎌倉の高徳院、この3か所限定です。
ぜひ1冊、いかが。税別で1800円。025(282)7612會津八一記念館へ。
八一と麻青の友情を語る~7月14日 文芸講演会のお知らせ~
講演会「北方の人 會津八一 -式場麻青あて書簡をよむ-」
会津八一記念館で7月11日から始まる「芝蘭の交わり ~八一と麻青の書画~」展の関連イベントとして、文芸講演会を開催します。
日時:7月14日午後2時~3時半、
会場:新潟日報メディアシップ2階、日報ホール(新潟市中央区万代3-1-1)
講師:和泉久子氏(鶴見大学名誉教授・専門は日本近代詩歌)
聴講料:500円
内容:新潟県五泉市出身の歌人式場麻青(八一の中学時代の後輩)と八一の交流をはじめ、二人が関わった明治、大正時代の
新潟の文芸に関する啓発活動についても講演してもらいます。
聴講ご希望の方は、往復はがきに住所、氏名、電話番号をお書きのうえ、會津八一記念館へお申込み下さい。1通に1名様までのご応募といたします。
賢者同士の交流~次回企画展のお知らせ~
企画展 新収蔵・式場麻青コレクション「芝蘭(しらん)の交わり ~八一と麻青の書画~」
現在、好評開催中の企画展「書人會津八一 その制作現場」が7月2日で終了いたします。まだ、ご覧になっていない方はぜひご来場ください。
7月11日からは、企画展「新収蔵・式場麻青コレクション「芝蘭(しらん)の交わり ~八一と麻青の書画~」がスタートします。八一の旧制新潟中学の後輩で、歌人・国文学者の式場麻青の遺族から寄贈された麻青旧蔵品のお披露目展です。八一と麻青の墨蹟や原稿、書簡など約80点を紹介。また麻青の甥の式場隆三郎が支援した山下清の「長岡花火」(シルクスクリーン)も展示します。ぜひご期待下さい。
八一の書をいつも身近に-自詠自筆の句を扇子に
記念館のオリジナル商品にまた新しい仲間が加わりました。扇子です。
来館者の皆さんから「こんなものがほしい」と寄せられた中で「扇子」は要望の多かった一つです。
そこで會津八一の自詠自筆の句をあしらった扇子を2つ作りました。
一つは「ぬかみその むらさきさめて けさのあき」(右)、もう一つは「ふる庭の 牡丹にまつの あらしかな」(左)です。
「ぬかみその-」は、立秋の日の朝、食卓に出た糠漬けのナスの紫色の鮮やかなことに覚えた感動を、また「ふる庭の-」は、古い庭に咲く牡丹の花が、松の梢を揺らす風のせいで大きく揺れているさまを「嵐のよう」と、それぞれ詠んだものです。
會津八一は草花を愛しました。どちらの句にも対象を鋭く観察する八一の眼が感じられます。
1本1000円(税別)。発売を記念して8月1日の八一の誕生日までは特価(1本750円=税60円)で販売いたします。2種セットでお買い求めの場合は1600円(1482円+税)です。025(282)7612、會津八一記念館へ。
雲の上を歩くような書ー杭迫柏樹先生講演
5月25日、企画展「書人會津八一 その制作の現場」(7月2日まで會津八一記念館)を記念し、メディアシップ2階の日報ホール(新潟市中央区万代)で、書家で日展会員の杭迫柏樹先生から講演していただきました。題して「書家から見た會津八一の魅力」。
杭迫先生は「力の弱い薬指と小指をどう使うか、書家が一生かけて追究する」と前置きし、八一が筆を持って紙に向かっている写真を見ながら、八一は「薬指と小指をまっすぐに伸ばして筆を持ち、体全体の力を筆に集中させている」、と分析しました。
八一の書は「実に雄大。空に向かって練習したのではないか。雲の上を歩くような書だ。頑固一徹、厳しい人が作る線が柔らかなのが不思議だ」と、その魅力を語りました。
さらに「素晴らしい才能を持った人は素晴らしい花を咲かす。ただ、その花をまねる人がいるが、花だけまねたのではだめだ」といい、「花を咲かすには根があり幹があり枝があるのだから、そこを学ばねばならない」と強調。「八一が何を学んだかを学べ」と、結果だけを見てまねることを戒め、「学ぶこと」について示唆に富んだ話をされました。100人余りの聴衆が熱心に耳を傾けました。